幼児教育の重要性

近年、世界的に幼児教育(就学前教育)の重要性が多くの人々によって叫ばれています。

国内においても、5歳児の義務教育化、幼児教育の無償化といった事案が検討されています。

そのような背景として、ノーベル経済学賞を受賞した労働経済学者ジェームズ・ヘックマンの研究結果が大きく影響しているようです。

彼の研究は、幼児教育を受けて育った人達とそうでない人達が、成人後にどのような職業に付き、所得金額等にどのような影響があったかを約40年にわたり追跡調査したものです。

以下、詳細がまとまった記事を見つけたので、紹介します。

16号:就学前教育の投資効果から見た幼児教育の意義

 その結果は、有意な差となって表れました。就学後の学力の伸びに、プラスに作用しただけではありません。介入実験を受けた子どもたちと、そうでない子どもたちを40歳になった時点で比較したところ、高校卒業率や持ち家率、平均所得が高く、また婚外子を持つ比率や生活保護受給率、逮捕者率が低いという結果が出たのです(図表2)。

(中略)

就学前教育を受けた子どもたちの間で顕著だったのは、学習意欲の伸びでした。一方で子どもたちのIQを高める効果は、小さいことが明らかになっています。高所得を得たり、社会的に成功したりするには、IQなどの認知能力と、学習意欲や労働意欲、努力や忍耐などの非認知能力の両方が必要になるわけですが、ペリー就学前計画は、子どもたちの非認知能力を高めることに貢献したわけです。

 注目すべきは、幼児教育は子ども達の学習意欲や労働意欲、努力や忍耐などの非認知能力を高めるという点だと思います。

この非認知能力は、自発性、問題解決力ともいわれ、社会的に求められるだろう大事な能力です。

また、記事内でも触れられていますが、今後日本においても家庭の経済格差が拡がっていくなかで、充分な幼児教育を与えることができない家庭が増加する可能性は否めません。

そんななか、いまやどの家庭にも浸透しつつあるスマートデバイスが一縷の光となり得るかもしれません。学習効果、人体への影響等まだまだ議論すべき未知数な部分は多いですが、期待される分野でもあります。

子ども達にとってより良い教育環境を実現することは、現代社会の大きな課題と言えそうです。