モンテッソーリ教育ってなあに~其の参
モンテッソーリ教育が科学的教育と呼ばれる所以は、 知的障害児の治療教育の成果を基礎にして、徹底的な研究のもと「子どもを知ること」に注力した点にあります。
つまりは、子どもを観察する中で得た事実に基づいて、モンテッソーリ教育は構成されています。
この「観察」という視点は、大人が子どもに接する場面において欠かせない要素と考えられています。
観察者(援助者)の視点
教育つまり子どもの発達を援助する中で、従来の教育において知らずしらずの内に引き起こされる妨害がしばしば見落とされています。
それは、子どもの能力・可能性に関係なく、また子どもの知識への自然な接近法を知らないまま、大人はある一定の知識の形式と内容を規定し、これらの独断的な範囲を子どもに制限しているということです。
つまりは、教育者と呼ばれる人間が子どもの前に立ち、子どもに課せられている範囲を越えて進むことを禁じています。
これでは、子どもの自発的な発達が妨害されるだけではなく、歪んだ人格を生み出してしまう要因になります。
そうではなく、あくまでも教育者は子どもの後ろに立ち、でき得る限り子どもを前進させようとすることこそが、モンテッソーリ教育法の象徴的な概念でもあります。
そういった意味で、大人は子どもたちが必要としているものを発見し、それらの必要を満足させるように援助する、良き観察者の視点を養っていくことが求められています。
観察者(援助者)にとって大切なポイント
・環境を整える
ー子供が取扱いやすいサイズの教具を用意する
ー子供が自分で活動を選べるようにする(棚に見やすく、取りやすく置く。あらかじめ1つのお仕事に必要なものを、トレイなどにまとめておく。)
ー色や形が美しく、清潔で、本物である教具を用意する(慎重に扱う態度が身につき、美しさに惹かれて子供がやってみたい!という気持ちになる)
ー子供の敏感期、発達段階に合った教具や活動を用意する
・提供(提示)は、正確に、子供に分かりやすいようにスローテンポでやってみせる。子供に的確な援助をするために、大人は教具の使い方を繰り返し練習する必要があります。
・子供の喜びを、大人の代行で奪ってしまわないようにする。しかし,子供が助けを必要としているタイミングは逃さないように、常に子供を観察する。
・子供が直接、言葉で表現していない要求も含めて、子供の要求に耳を傾け、よく聞いてあげる。
・子供の仕事を尊重する。大人の一方的な都合で、子供の仕事を中断したり、妨げたりしないように心掛ける。
・子供の間違いを直接的に訂正しない(ほとんどのモンテッソーリ教具は、自分で間違いに気付いて訂正できる工夫がされています。)
・休息している子供や他人の仕事を見ている子供を尊重し、仕事を無理強いしないようにする。
・子供が仕事を始めるまでは、たゆまず仕事への誘いかけを続け、子供が仕事に集中するようになったら、暖かく見守る。
・仕事が済んで、快く力を出しきった子供に対し、決して安っぽい言葉で褒めない。子供の心に安らぎを与えられるような言葉をかけたり、態度で示すことが大切。
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これらのポイントを全て実践することは、とても難しいことだと思います。
しかし、少しでも意識して子どもと接することで良き観察者の視点を養っていくことは、モンテッソーリ教育において重要とされています。
その過程は、実績あるこの教育法を作り上げたモンテッソーリ自身の人生を追体験することだと、捉えることもできます。
次回は、モンテッソーリ教育をうけて育った子どもたちの特徴について、触れてみたいと思います。